読書のすゝめ 4

 

今回紹介したい本は、

MINDSET マインドセット「やればできる!」の研究 The New Psychology of Success

著者 キャロル・S・ドゥエック Carol S. Dweck,Ph.D 

訳 今西康子

です。

 

この本の論旨は

「硬直マインドセット」と「しなやかマインドセット」による影響

です。

 

まず、「マインドセット」とは何かと言うと

その人が持っている心持ちのことです。

 

その心持ちがコチコチに固まっているか、しなやかに柔軟性を持っているのか

の判断が次に展開されていきます。

 

例えば、次の知能に関する考え方の中で、どちらのマインドセットに近いのかわかることができます。

①知能は人間の土台をなすもので、それを変えることはほとんど不可能だ。

②新しいことを学ぶことができても、知能そのものを変えることはできない。

③知能は、現在のレベルにかかわらず、かなり伸ばすことができる。

④知能は、伸ばそうと思えば、相当伸ばすことができる。

 

あなたの考え方は上のどの考え方に近いですか?

 

 

 

答えとしては、

①と②は硬直マインドセットで、③と④はしなやかマインドセットです。

両方が混ざる人もいますが、たいていは一方に傾きます。

 

結論から言えば、硬直マインドセットを持っている方は

抑うつ的になりやすく、自尊心を満たすための行動決定をするようになり、

決定的な場面で力が出し切れない、と言うことが書かれています。

 

しなやかマインドセットを持っている方は、自分の成長を疑わず、何に取り組むにおいても努力をするようになり、結果として決定的な場面でも自分を成長へと導きます。

 

自分がこの本を読んだとき、真っ先にこの硬直マインドセットだと確信させられました。なぜかと言うと、定期的に抑鬱状態になり、他人のあら探しをすることによって自分の立場を優位に見せようとし、結果として、大学受験を最後まで成功させるとこができなかったからです。

特に、1回のテストで自分の能力を計られていると思うと、「失敗できない。」「これをミスしたら周りからなんて言われるんだろう。」と思っては失敗を繰り返してきました。

実際、1回のテストで現在の全ての能力を計ることはできないし、将来伸びるであろう能力を計ることもできないのに。それなのに受験勉強をしていたときは、受験本番で点数が取れないとダメな人間で、周りから劣った人間であると指をさされると思うと、思ったような点数を出すことはできませんでした。

 

この硬直したマインドセットを構築する原因としては2種類あると考えています。

 

1つめは、自分が発見して硬直してしまうパターンです。

例えば、学校で問題を解くのが早い人と遅い人を見て、頭が良い人は問題を解くのが早いし悪ければ遅いと思ってしまうことです。これを発見してしまうと、自分がどちらの人間と見られるのか、他人の視線を気にして行動するようになります。まさに他人より優位な立場を求めるようになってしまっているのです。

 

2つめは、親や教師によって硬直するように植え付けられるパターンです。

例えば、親が子供の時から「あなたは頭の良い子だから、あの大学に入ってね。」とか「こんなに良い点数を取るなんて、なんて頭の良い子なんだろう。」などと言われた子はマインドセットが硬直してしまいます。それはなぜか。このフレーズの裏に隠されている言葉を子供が見抜いてしまっているからです。それは「この問題を解けなければ、頭が良くないと思われてしまう。」や「自分は頭が良いから努力しなくてもできるはずだ。」などです。よくこのパターンであるのは、「努力をするのは頭の良い人がすることではない」と思ってしまうことです。あのマイケルジョーダンでさえ、努力を絶やさなかったと言うのに…。

 

こういった硬直マインドセットを持っていると、学校でいじめを受けたり、いじめをしてしまうことにもつながると考えられます。

「頭が悪いあいつと一緒にいたら、俺らまで頭が悪くなるから、ハブろうぜ。」と言うようなフレーズをドラマなどでよく耳にしますよね。これはいじめる側が、相手よりもテストの点数がよかったりして、相手より自分が優位な立場であると思っている硬直したマインドセットの典型です。

また、いじめを受けている側にも硬直したマインドセットを持っている可能性はあります。「あいつらみたいに能力がないから、いじめられても仕方ない。」と思ってしまっているかもしれません。これは努力をしても、自分の能力を伸ばすことができなと考えているので、硬直しているのがわかりますよね。

 

自分がセンターの判定でもA判定が出ていた教育大学を後期日程で受験した時の話です。後期日程は面接だけだったので絶対に受かると確信していました。

面接の内容は「いじめに対してどう考えていますか?」と言うものでした。

普通に答えるならば、「絶対にいじめる側に非がある!!」ですよね?

自分は違いました。「いじめは双方的に非が生じる可能性が十分あると考えます。」と答えてしまったんですね。上の硬直マインドセットの例でもあるように、双方的に問題を抱えている可能性は十分にあり得たはずです。ネットでこれを調べると教育者になるのであれば、「いじめる側を許してはいけない」ということがよく書かれています。

 

本当にそうでしょうか。教育者であるならば、いじめる側もいじめられる側にも考察するべきではないでしょうか。

 

この面接の結果によって、自分は浪人することが決定してしまいましたが、逆に日本のいじめに対する考え方は一方的であることに気がつき、多分、このままいじめを撲滅することはできないんだろうなぁと思ってしまいました。いじめはそんなに簡単な問題ではない!!!

 

さてさて、本題に戻ります。

こういった問題に対する解決方法は、しなやかマインドセットになることです。

しなやかマインドセットになれば、自分の将来的な能力をなばすチャレンジをいとわなくなります。

つまり、他人との優劣を気にせず、自分の成長のために行動するようになるのです。

 

あなたは、硬直したマインドセットとしなやかなマインドセット

どちらのマインドセットを持ちたいと思いますか?

 

ここに挙げた例はほんのわずかなものです。

本書を手に取ってもらうことで、自分の子供の教育しかり、自分自身の意識改革しかり、役立ててもらえると思います。是非読んで見てください。

 

 

ありがとうございました。